「具体と抽象」から抽象の持つパワーや付き合い方を知る
「具体と抽象」を読んだので、中身をまとめます。
- 作者: 細谷功
- 出版社/メーカー: dZERO
- 発売日: 2014/11/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本の主題と主要な論点
- 主題
- 抽象の持つパワーや特徴を理解し、正しく利用する
- 論点
- 抽象の持つパワーとは
- 抽象の落とし穴に注意する
- 抽象と具体を適切に行き来する
抽象の持つパワーとは
- 「一を聞いて十を知る」。複数の事象の共通点を見出すことで、ある体験からの学びを別の体験に活かすことができる。
- 少ない言葉で多くの具体的事象をカバーできるのが良い抽象。シンプルであればあるほど良い。(物理法則など)
- 共通項により物事をグルーピングすることで理解や話の効率をあげることができる
- 個々の魚ではなく魚類全般の話をする場合、「魚」という抽象概念を使うことで話が単純になる
- サーバー構成を考える時、をただの二次元の四角でサーバーを表現する(図解)
- 階層構造となり、上の階層の性質を下の階層が引き継ぐという法則を持つことで、サブセットの理解が素早くなる
抽象の落とし穴に注意する
- お互いの話の抽象レベルが揃わないとコミュニケーション不全をきたす。
- 会話が噛み合わない
- 「顧客の意見は聞くな!」というメッセージは普通、顧客の具体的な意見に左右されるのではなく、そこから抽象的な課題をみつけよ、ということ。言葉そのままの意味で「顧客の意見は聞かない」と解釈すると反発したくなるが、そういう話ではない。
- 話がコロコロ変わるように見える
- 昨日はAを行えと言ったくせに、今日はやっぱBで、と言っている。この事象は右往左往しているわけではなく(そう言う場合もあるが)、一段上の抽象的な目標を達成するために手段を選んでいないということ。具体的な手段が目的だと解釈すると、右往左往しているように見えてしまう。
- 抽象と具体の間にはマジックミラーがあり、「見えている人」からするとどちらも認識できるが、「見えていない人」から見ると具体しか認識できない。こう言った人と話すのは永遠の悩み。
- その道を極めた人のシンプルな発言は、素人にはまったく理解できない、もしくは的外れのように感じる。
- 喩え話を使うことは有効
- 喩え話も抽象のパワーを利用している。
- 会話が噛み合わない
- 抽象に寄り過ぎると本末転倒に陥る
- 一度認識した抽象を覆す具体が現れても、抽象を見直すことができない
- 日本語の文法、あるいはある特定の集団の過去の行いから生まれた偏見など。
- 一度認識した抽象を覆す具体が現れても、抽象を見直すことができない
- 「自分は特別」と誤認しやすい
- ある会社がうまくいっている時にその手法を真似ようとすると、「あそことウチは(商品が/組織が/場所が)違うから・・」と、自分たちは異なることを強調する
- 本当にそうであるケースはもちろんあるが、抽象レベルでは同じなのに具体レベルの違いを出して違いを強調しがち
- こうなると、他での学びを活かせなくなってしまう
抽象と具体を適切に行き来する
- 抽象を磨くには、具体もセットで考えることが必要。現実を観察し、抽象化し、実践し、そこから新たな現実を知ることで抽象をアップデートしていく。
- 具体と抽象の得意なケースを認識する。
- 現状の改善のためには具体をしっかり見る一方、革新的なことは具体のみ見ていては発想できない
- 抽象・具体、双方の目標をつなげる。
- 抽象的な目標は長期的で適用範囲が広い反面、結果は見えづらい。一方、具体的な目標は短期的でわかりやすく実施しやすく結果も振り返りやすい。
- 長期的な目標を持つことで場当たりな活動や無駄な活動はなくなり、具体的な目標を持つことで進捗を実行が進む。
- OKRはOが抽象、KRが具体であると考えられる。