「ニュータイプの時代」とマネジメント
なんとなく書店で見て気になった「ニュータイプの時代」を読んでみた。時代の変化とともに価値観がどう変わっているか/変わっていくかを改めて整理して知るという意味で、良い本だった。
- 作者: 山口周
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/07/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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せっかくなので、この本で感じたことをマネジメントに絡めて思いつくままにつらつらと書いておこうと思います。(必ずしも「ニュータイプの時代」に記述のあることを書いてるわけではありません。そこから刺激された私の思考です)
気になるメガトレンド
本書では6つのメガトレンドを紹介しているが、特に気にしておきたいと思ったのは以下2つ。
飽和するモノと枯渇する意味
モノ、溢れてますよね。私自身も日々の生活の中で「便利」だとか「効率的」だとかいうものに興味を失いつつあります。もう十分効率的だし生活も便利だよ、と。新しいテクノロジーは好きなんですが、それは便利さの追求よりも面白さを個人的に重視している気がしています。
社会のVUCA化
あらゆるところで言われていることですね。技術の進歩とグローバル化により、メガベンチャーや勢いあるスタートアップにすごい勢いで市場を取られることも多いです。それに伴い、個人のキャリアも計画が難しくなってきていることを感じます。
マネジメントに活かす
淡白な売上目標ではなく、「意味のある」問題設定が必要
- マネジメントとして行うべきは、売上など淡白なKPIの改善を目指すのではなく、チームが自発的に取り組みたくなるような「意味のある」問題設定をおこなうこと。
- モノに溢れ便利・裕福になった人々にとって、単純な売上によるKPIや利便性の一層の追求には「取り組む意味」を感じづらい。(もちろんそうでない人もいるとは思う)
- そこで、「自分はこういう世界であってほしい」「この事業・この仕事をすることで、社会や自分はこう変わる」という利便性や利益を超えた「意味」が感じられる目標が必要。そのための売上であったり効率性であったりする。
計画・ルールは守るべきものではなく、「意味」をベースに見直されるもの
- 計画やルールは過去の出来事をベースに行われるものですが、VUCAと言われる変化の激しい状態では過去の出来事が参考にならなることもあります。
- つまり、変化の激しい状態に対して「ルール」「計画」を綿密に行ったり求めたりすることは不可能であると割り切る。
- 計画については、見直されても素早く動けるように備えておく、見直し自体をプロセスの中に含んでしまう、が必要。
- 例えばアジャイル開発。
- ルールについては、ルールが絶対的に信頼できない中で何に依拠して判断すれば良いかというと「倫理観」「美意識」といったものになります。しかし、これは個人によって異なるものであるため、それを組織に昇華する必要があります。それが「組織文化」なのでしょう。
- 組織文化はこういった変化の激しい環境で正しい意思決定をしていくために必要なものであるため、今重要視されているのかもしれません。
- 「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」にも、「CUA要因」と「文化的価値」に触れた記述がありました
HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント) 人を育て、成果を最大にするマネジメント
- 作者: アンドリュー・S・グローブ,ベン・ホロウィッツ,小林薫
- 出版社/メーカー: 日経BP
- 発売日: 2017/01/11
- メディア: 単行本
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「教育」ではなく場所を変える
- 同じ職務では、人によってパフォーマンスに差が出る。パフォーマンスの悪い人がいる場合、通常は教育という手段を使う。
- しかし、人は自分自身が好奇心を持てる場所でもっとも大きなパフォーマンスを出すものである。
- また、1万時間の法則のように、一定の時間の努力が必要なことがある一方、そうでないことも周りには多いらしい。
- 若者がおじさんのパフォーマンスを凌駕してしまうなど、むしろ経験値がないほうが有利みたいなこともたまに見る
- 同じ場所で一生懸命本人の望まない努力をさせるよりは、ミッションや職務を変えるなど、フィットする部分を見つけるほうが教育よりも有益かもしれない。
以上。自分としては以下の価値観をもう少し意識していきたい。
- 利益よりも意味で表現する
- 同じ場所にこだわって戦い続けるよりも逃げる、逃がす
- 先が見えないものに、論理的正しさを求めすぎない。問題に応じて論理と直感のバランスをとる。